路地裏のライブハウス

25歳の時、失恋で落ち込んでいた夜、ふと入ったライブハウスが人生を変えた。渋谷の路地裏、薄暗い階段を下りると、ギターの音が響いていた。ステージの若者は、掠れた声で「諦めないで」と歌い、胸に刺さった。カウンターでビールを飲みながら、涙がこぼれた。

ライブ後、勇気を出して彼に話しかけると、「音楽は自分を信じる力」と笑った。彼の名はユウト、インディーズバンドのボーカルだった。その日から、私は自分を変えようと動き出した。会社での企画を積極的に提案し、苦手なプレゼンに挑戦。ユウトのライブに通い、彼の歌に背中を押された。

半年後、企画が通り、上司に「君の情熱がすごい」と褒められた。ユウトは今、メジャーデビュー目前。去年、彼のライブで再会し、「あの夜、話しかけてくれてありがとう」と言われた。ライブハウスは、ただの音楽会場じゃない。自分の可能性を見つける場所だ。今も、悩む夜はユウトの歌を聴く。いつか、私も誰かを勇気づける存在になりたい。